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2022年08月27日

OKINAWA 2021 深き緑の世界

2021年11月8日。

わたしはひとり斎場御嶽の中にいます。
そぼ降る雨の匂い、生い繁る亜熱帯植物が放つ呼気の甘やかなこと。
傾斜になっている足元の悪い場所はゆっくりゆっくりゆこう。
傘をさしたり閉じたり。樹木の大きく成長した葉が屋根のように雨を遮ってくれるので、途中から完全に傘は閉じました。
わたしの背丈の何倍も高さのある樹々が、頭上に葉を繁らせて幾重にも重なり合って。真夏の晴れた日中であっても時折木漏れ日が漏れる程度の日射でしょうか。





OKINAWA 2021 深き緑の世界

香炉の置かれた祈りの場「大庫理(うふぐーい)」から、写真の「寄満(ゆいんち)」に。首里城にも同じ名前の建物があったそうですね。台所を意味するということですが、調理をする場ではなく、世界中の豊穣が集められた場所とか。







OKINAWA 2021 深き緑の世界

非常に難しい名称ですよ。何度口にしてもすらすらと発音できないし、ましてや覚えることなぞ困難。「シキヨダユルアマガヌビー」と「アマダユルアシカヌビー」。鍾乳石から滴り落ちる聖なる水を受け止める、ふたつの壺の名前なのです。響きが神秘的だ。溜まった水量で国の吉兆を占っていたということです。






そして、このふたつの壺から向かって左手に視線を動かせば…。
そこは斎場御嶽の象徴である三庫理(さんぐーい)。
左右の大岩が寄り添って、見事な三角形の空間を造っているのは偶然なのか、神さまの意思なのか。
この大いなる神秘性ゆえに、斎場御嶽が琉球最高聖地とされるのでしょう。ここに至るまでの御嶽内も、単なる鬱蒼とした森では無く尋常で無い空気に包まれていましたが…辿り着いた三角形の空間に人は何を見て感じるのでしょうか。
三庫理を潜ると、そこは呆気ないくらいのちいさな広場で「チョウノハナ」と名前が付いています。香炉が置かれただけのシンプルな場所ですが、振り向くと樹々の合間がすっぽり抜けている海の見える遥拝所。真っ直ぐ先、水平線には聖なる島久高島が。
こんな見事な舞台装置って…。

しかし残念なことに、今回の訪問では「三庫理」を潜ることは制限されていました。
わたしは過去2回遥拝所からの久高島を望むことが出来たので、この時は諦めがつきましたが。狭い「チョウノハナ」に人が殺到することはコロナ禍にあってはならないことですね。





OKINAWA 2021 深き緑の世界

無粋なのでカットしてありますが、下方には立ち入り禁止のコーンが。






OKINAWA 2021 深き緑の世界

何度目にしても美しい三角形だなぁ…この先のチョウノハナが訪問客で混雑している様子は想像したくないかも。





コロナ以前には海外からの観光客も団体で訪れていたことでしょう。御嶽でのマナーを理解しない人もいると思われます。
わたしは世界遺産になる前にも一度訪問しているのですが、観光バスは見かけなかったし、地域物産館も存在していなかったし、入場料もかからなかった。
世界遺産登録されるということは…安っぽい「パワースポット」というワードで賑やかしされることでは無いですよね。
いつの頃からか、斎場御嶽は年に2回、それぞれ数日間ずつの「休息日」を設けるようになりました。
踏み荒らされる聖なる場所が、俗な空気から解放される日々が必要なようです。






OKINAWA 2021 深き緑の世界

内地では観賞用に販売されているクワズイモの葉っぱが…傘並みの大きさだ。自分がちいさくなったのか?(笑)そして、戻る途中ふと目にした葉にくっついていたミントグリーンのかたつむり。こんな色の子初めて見たよ。実際は爪程のミニサイズ、我ながらその存在によく気付いたな、と。





                                 つづく。








Posted by せまるはこがめ at 08:16│Comments(14)
この記事へのコメント
アレ?立入禁止だったの?
今もそうなのかな。
ま~、あんまり密なのはね~。
入場料は300円も取らなくていいのに。
100円でいいのに。
トトロがいそうだ。
へぇ~、かたつむりがミントグリーン?
幼生かな?
Posted by B_islanderB_islander at 2022年08月27日 10:35
確かに斎場御嶽は以前は入り口=駐車場でしたね。入り口横の小さな池には、シリケンイモリで賑やかでした。時々蝶々の生息調査なんかしていて、まあ知ってる人は知っているといった場所でした。
世界遺産になり一気に人が押し寄せる事態になり、自治体としてはいいのでしょうが、地元の人たちは痛し痒しですね。

近くの知念崎は何度か朝日を見に行きました。以前から猫は居ました。まあかなり世代交換はしたのでしょうね。
Posted by BK at 2022年08月27日 10:36
B islanderさん

そうなのですよ〜。
明らかにコロナ禍の影響。三庫理は立ち入り禁止です。
あの狭い空間に人がみっちりなのは…いくら屋外とはいえ、ですね。
なので、チョウノハナからの久高島を拝むことは叶いませんでした。
ん?入場料の300円は高いかな?
でも環境保全とかに役立っていると思いたい。
万座毛も有料になっちゃいましたね。あちらは100円だったかと。
確かにトトロが現れても不思議ではない鬱蒼とした森ですよね。Bさんはひとりで歩くのに抵抗無いかな?感じちゃうかな?
このカタツムリ、幼生ではなくこんな種類のいきものらしいですよ、とてもちいさいけれど。
アオミオカタニシ?
…検索したらでっかくグロいカタツムリ画像出てきてひいてしまう…(笑)
Posted by せまるはこがめせまるはこがめ at 2022年08月27日 16:01
「シキヨダ〜」の件は、言葉は悪いかもですが、もーう、呪文ですよね^^;
昨夜、日本風土記で沖縄特集をやってましたけど、やっぱり、言葉が難しいこと難しいこと(;_;)
FMヨコハマで護得久先生の授業?みたいなコーナーを毎月(月イチ登場)聴いているものの、なかなか頭に入ってこない(残らない)。
てか、真剣に覚えようと思えばいいんでしょけど、それを覚えたら、大事な仕事で使う法律だ何だが頭の中から消えていきそうで、聴き流してしまいます・・・。
青森方面も呪文に近いですけどね(笑)
日本の国土は狭い狭い言われますが、言葉一つとっても、海の様に広く・深いと思いますね。
はい。
何か真面目でしたね。
はい。
だって、内容的に真面目じゃないと、バチが当たりそうで・・・。
Posted by インテ at 2022年08月27日 16:06
Bkさん

BKさん、以前の斎場御嶽をよくご存知でしょうね。
はい、かつては御嶽のすぐそばまで車で乗り付けることが出来ましたね。
まだ世界遺産登録前のこと…。
今は少し離れたところに地域物産館が建ち、そちらまで行ってチケット買わなくてはならなくなりました。
また、世界遺産認定されて以降、大型観光バスで沢山の人が押し寄せたり、外国人観光客でざわざわしたり。
世界遺産になっての弊害もありますよね。
シリケンイモリや蝶々の豊かな生息地でもあるのですね。イモリ見てみたいなぁ。
斎場御嶽に飛ぶ蝶々はなんだか神秘的ですね。
賑やかになった今でも、深い緑の森は、いきものたちの息づく場所であり続けていることでしょう。
知念岬は朝陽の名所だそうですね。
きっと壮大で素晴らしい光景でしょうね。
ふふふ、猫ちゃん、何代にもわたってこの辺りに暮しているのですね〜。
Posted by せまるはこがめせまるはこがめ at 2022年08月27日 16:12
インテさん

うん、真面目なインテさんは更に好感度アップですよ。
あはは〜まさか、御嶽の話だからって、いつもの調子だと罰当たりだと思ってのこと?
いやいや、こんなことも語れるのです、って、みなさんをハッとさせるコメントに拍手ぱちぱちですよ。
斎場御嶽の聖なる水ふたつの名前…
何度口にしてもすらすら言えない。
ですよね、まさに呪文ですよねぇ。響きも独特ですしね。
そして、日本風土記をご覧になってるの?
NHKの?
いやぁ素晴らしいじゃありませんか。
更にFMヨコハマで護得久先生からのお勉強も欠かさないとは。(FMヨコハマで沖縄番組やってるのも知らなかった)
もっとそっち方面、インテリインテさんを押し出してください(笑)
でも、一生懸命になるあまり脳みそぱんぱんにせず、お仕事で必要な知識を入れるスペースは残しておいてくださいませ〜。
Posted by せまるはこがめせまるはこがめ at 2022年08月27日 16:24
そうか、立ち入り禁止だったのですねサングーイ。
確かにあそこに人がたくさん入ると密集・・・といっても
屋外ですのにねー^^; あそこから眺める久高島は
とても神々しいのにねー。
しかしすんごいカラフルなカタツムリ!土に混ぜると
良い焼き物ができそうですよね(笑)
Posted by sperrysperry at 2022年08月27日 16:41
sperryさん

そうなのですよ、コロナのせいで三庫理は立ち入り禁止に。
すっごく狭い空間ですよね、でもその場所から海の向こうに久高島…ってほんと出来過ぎの演出で。
今回その聖なる島を拝めなかったのは残念でしたが仕方ないですよね。
ですが、コロナ以前はこちらにも大勢の旅行者が押しかけていたと思うと…その方が異常かもしれません。
いきなりパワースポットと俗な呼び名で知られるようになって、これまで聖地と崇めてきた県民の皆さんも複雑な思いだったかも…。
このちいさなかたつむり、ミントカラーできれいでしょう。
ちいさいからこそ可愛らしいですし。
拳骨ほどのマイマイは…う〜ん勘弁して〜です(笑)キモい(笑)
えっ、焼物?
あはは〜 sperryさんの目の付け所が面白い〜(笑)
えっと…八重山のパナリ焼きだっけ?貝を混ぜるのは?かたつむりだっけ?
いずれにしても、かたつむりから焼物を連想する人は少ないかと(笑)
Posted by せまるはこがめせまるはこがめ at 2022年08月27日 21:01
 10年以上前に一度だけいったことありますが、その時には地域物産館もなかったし、立ち入り禁止の場所もありませんでした。 世界遺産に登録されて、訪問者が増えたからでしょうか?

 この場所、空気が新鮮ですよね☆ 聖なる場所だと、感じます。 あー、行きたいです。
Posted by 美江美江 at 2022年08月28日 00:15
美江さん

わたしの最初の斎場御嶽訪問時も、まだ世界遺産認定されてはいませんでした。
上にも書きましたが、地域物産館も建っていなくて、駐車場も御嶽前で広くはなく、まだまだ観光地といった雰囲気ではありませんでしたね。
それが世界遺産登録後は観光客や外国人が多く訪れるようになり、一気に俗な空気になってしまったとも聞きました。
ですので、今は入場前にビデオを見てから、と係の人に案内されます。
聖なる場所での禁止事項などビデオに流れるようです。訪問客の中には不届き者も多かったのでしょうね。
あ、チョウノハナが現在立ち入り禁止なのはコロナ故です。
屋外とはいえ、狭い空間で密になってしまうからでしょうね。
そうなのです、神聖な深い森の空気はぴんと張り詰めていてどこか違っていますよね。
バスの本数がとても少ないので注意ですが、旭橋バスターミナルの乗り場が…えっと、わたしの記録には7番乗り場とありますね。
朝の9時半発が有りますよ。
約1時間後には斎場御嶽に到着します。
あ、バス停名は「斎場御嶽入口」で、地域物産館の近くに停車します。
お間違えないよう、ご参考までに。
Posted by せまるはこがめせまるはこがめ at 2022年08月28日 14:19
斎場御嶽、私が訪問したのは、結構大人になってからかも。
子供の頃は存在もあんまり知らなかったはず。
今みたいにネット社会でもないし、那覇南部の情報もなかなかわからないしね。
今は制限されているんですね。
でも勝手に入っている人もいそうですよね。
神秘的な場所で自然の偉大さを感じますよね。
久高島が見えるあのスポットの木の隙間がハートにも見えるとかってね。
そのときの木の茂り方でも形が変わるんでしょうね。
女性1人で入るのは大丈夫でした?
ちょっと心配です。
Posted by :*:天使ちゃん:*::*:天使ちゃん:*: at 2022年08月30日 11:38
天使ちゃんさん

斎場御嶽、天使ちゃんが子供の頃は沖縄県内でもあまりメジャーではなかったかもしれませんね。
うんうん、ネットの出現によって情報量がぐん!とアップしましたものね。
斎場御嶽も世界遺産登録前はひっそりしていました。
ガイド本などには紹介されていましたが、興味ある人も少なかったか、と。
それが世界遺産認定されて、また各メディアやSNSでパワースポットと知られてからは多くの人が押しかけるように。
本来そんな場所じゃないのにねぇ。
コロナで立ち入り禁止の聖域もあるのですが…確かに入っちゃってる人もいるかも?
でも聖地ですから、さすがにそこは良心が咎めるかな。
そうそう、遥拝所から見える久高島、木々の隙間がハート型なのですよね〜それも凄いこと。
この時は訪問客も少なく、確かに深い森でひとりの場面もありました。
ご心配をありがとう。
神さまに守られて怖い思いをせずに歩くことができましたよ〜。
Posted by せまるはこがめせまるはこがめ at 2022年08月30日 18:58
観葉植物として売られているクワズイモ、沖縄ではあちこちに自生していますよね。
きれいな色の小さなカタツムリさんが可愛いな。コロナ禍の前に行った時には観光客がガイドさんに久高島の説明を受けていましたよ。
今は入ることができないんですね。
ひとつひとつ場所に名前があるんですね。
まったく知りませんでした。
せまるさん、本当に勉強家だなぁ。
Posted by メープルメープルメープルメープル at 2022年08月30日 23:50
メープルメープルさん

クワズイモだなんて観葉植物としての認識しかなかったので、沖縄ではその辺に普通に自生していてびっくりです。
持って帰りたいくらい(笑)
その上葉っぱのサイズが…でっか〜い(笑)
傘になるくらい広がっているし丈夫そうですよね。
沖縄の自然の逞しさ…さすがです。
かたつむりさん…こんな素敵なグリーンで愛らしいですよね。
しかし沖縄には拳骨程の大きさのかたつむりも生息していると聞きました。
それには…出会いたく無い。いや、怖いもの見たさでほんとうにそんなに大きいのか確認したくも…ある(笑)
斎場御嶽を案内してくださる方がいらっしゃいますよね。
自分は参加していないのに、ついガイドさんのお話に耳を傾けちゃったり(笑)
でも確かにコロナ以降お見かけしないような気がします。
いえいえ勉強家ではないですよ〜。
沖縄が好きなだけ〜(笑)
メープルメープルさん、リアル沖縄情報また教えてくださいね〜。
Posted by せまるはこがめせまるはこがめ at 2022年08月31日 14:04
 
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